2015年9月 大学・企業での研修会にて

 

 大変有難いことに、9月に入って研修の仕事が立て続けに入りました。
 一つは沖縄の大学にて。
 4日間の集中講義でしたが、学生に向けて不正事例を紹介してきました。
 また今日は、一部上場企業の企業研修がありました。かなり大きな会場で数百人を前に話しましたが、研修後でも気分が高揚して、かなり興奮気味です。いい緊張感を味わうことができました。
 さて、以下は、上記の研修会で紹介した不正事例の一部です。良くありそうな不正事例とそのコントロール策です。
1.ポンタカード・ティーポイントカード不正
【不正事例】
 お客さんのポイントを自分のポイントにしてしまう不正が考えられる。
【コントロール】
 「ポンタカードお持ちですか?」とお客に尋ねることで、自分のポンタカードの使用を牽制する効果がある。「ポンタカードお持ちですか?」と尋ねておきながら、自分のポンタカードを使用しようとすれば、客は不審に思うためである。

2.レジ打ち省略による売上高代金の着服
【不正事例】
 飲食店等でのレジ打ちを省略し、売上を過少とし、その売上代金を横領する不正である。店長やオーナーが脱税のために行う場合もあれば、アルバイトが店の売上代金を着服する場合も考えられる。
【コントロール】
 店長やオーナーによる不正は防止が困難であるが、例えばレジの前に「当店ではレシートをお客様にお渡ししております。」と掲示することで、レジに入力してレシートを渡さないと客が不審に思うことから、一定の牽制となる。

3.割引券の不正使用
【不正事例】
 レストラン等の飲食店にて、販売促進用の「100円割引券」「10%割引券」を、お客が持参していないにもかかわらず、お客が持参したかのようにして、その割引額の詐取する不正が考えられる。
【コントロール】
 会計直前の割引券の使用を禁止し、飲食前に割引券を提示してもらい、店長その他の店員にお客が割引券を提示したことを確認させる。または、高額な割引券の場合には、お客の住所、氏名の記入を求めることで、店員の一存で割引券を使用することを牽制する。

4.廃棄食品の持ち帰り
【不正事例】
 ファストフード店にて、一定時間を経過した食品を廃棄するルールを悪用して、販売見込みのないまま食品を製造して、意図的に廃棄する食品を増加させ、これを詐取する不正が考えられる。
【コントロール】
 曜日、天候、時間帯等によって販売予測を行い、製造量を予め決めておく。また廃棄する場合には、廃棄した食品の種別、量、時間、担当者を継続的に記録させ、これを責任者が査閲し、特定の者に偏って廃棄が生じていないか監視する。

 いずれも地味な不正事例ですが、やはり適切なコントロールにより、不正を防止・発見する仕組みが必要であることは言うまでもありません。皆さんも身近に不正事例があると思います。もし可能であれば、その防止・発見策を検討する上での参考となりますので、ご教授賜れれば幸いです。メールは以下へ 
 takuya@nakazato-cpa.com
 もちろん、会社名等、守秘義務は厳守します。Taku